にいがたグリムの会

代表 真壁伍郎様

(新潟県・新潟市)

『SEVEN STORIES HIGH』

 

 昨年9月、これだけは読んでおきたい! という子どものための良書を紹介した、今や幻の文献2つを「SEVENSTORIES HIGH」として翻訳・出版された「にいがたグリムの会」代表の真壁伍郎さんにお話をうかがいました。

 

ここ「野の花文庫」は、昭和46年にご自宅の一室を解放して開いた家庭文庫で、当初娘さんのために集めた児童書300冊が今では1000冊以上となり、部屋の周囲をぐるりと巡っている。

 

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Q. すごい数の本ですね!

これは児童書だが、自分の本は既に1000冊くらい大学等に寄贈している。8人兄弟の5番目で、幼少期は野山を駆け回るような生活のなか、小学校教師だった父は私たち兄弟にいい本を与えてくれ、生徒にも読んで聞かせていたようだ。母は病弱で高等小学校しか出ていなかったが、様々な物語を聞いて育ったようで、私たちにも寝る前やコタツでいろいろな語を聞かせてくれた。本が好きで、特に源氏物語は93歳で亡くなる2、3ヵ月前まで原文で読んでいた。両親とも本が好きだったが、父は調べることが好きだったし、母は自分の心の世界を大切にしていた気がする。

Q. 本が身近な存在だったのですね

よく兄弟で回し読みをしたりしてね。同じ本でも、みんな感じ入るところが違って、だから本は楽しいし、ひととおりじゃないところがいい。今も「聖書の会」や児童文学の勉強会=「にいがたグリムの会」など、3つほど読書会を主宰しているが、いずれも継続しており、一番長い会は60年近く続いている。大学ではドイツ思想史を学び、卒論はルター。ダンテの神曲、ゲーテのファウスト、聖書といった主に古典を題材に勉強しているが、知れば知るほど興味は広がり、尽きることがない。ラテン語でノン・ムルタ,セド・ムルトゥム=not many but much=「多くではなく深く」という言葉がある。今の情報化社会は、物知りばかりが多くなり、深く考えない人が増えている。

じっくりいいものと向き合う大切さ、読書会も「野の花文庫」も「ブッククラブ」(幼少期からの良書の配本 真壁さんは代表)もそれが根底にある。

 

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Q. そしてこの度の「SEVEN STORIES HIGH」ですね

子ども時代は短い。だからこそ、基本的な感性が養われるその期間に、品格のある本物の本と出会ってほしい。「多くではなく深く」「たくさんの本より、いい本を」です。たくさん読んでほしいという、親の欲もあるでしょうが、子どもたちに本当にいいものを伝えておかないと、言葉がどんどんやせていく。よい本、よいお話とはどういうものか、そのことに気づいた全国の図書館員や親御さんたちから、いまこの本が見直され、多くの引き合いがきています。

Q. これからは?

もうじき向こういくのだからね。今さらうまいもの食べたって仕方ないし、これからの人、未来のために、心の栄養、肥やしになることをしていきたい。それしかないと思っている。あと、19歳の時に出会って以来、60年間一度も喧嘩したことがない妻と楽しく暮らしたい。頭にくることがあるかって?相手がマイナスだと思ったら、自分もマイナスだと思えばいい。マイナス×マイナス=プラス。自分のことを考えればいい。自分もマイナスだらけ(笑)。これからも、そんなふうに生きていきたい。

 

★新潟大学名誉教授であり、元新潟いのちの電話の理事長でもある真壁さんだが、生まれは同じ町、沼垂(ぬったり)ということで、親近感を感じる。高尚で、穏やかで、でも正直で、飾らなくて、随所に沼垂弁が出て。「たくさんではなく、深く」「未来のために生きる」「夫婦で喧嘩したことはない」など、一部信じがたく頭(こうべ)を垂れて(うなだれて!?)、聞くべきありがたいお言葉の数々! 真壁さんありがとうございます。私も、少しでも見習ってそんなふうに生きたいです。沼垂の誇りです。   (木戸敦子)

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