2019年が始まりました。還暦を迎える私にとっての今年は原点に還る年です。60年間生かされてきたことに感謝して一年を過ごしていきます。

2月のテーマは「会社のビジョン実現をイメージして仕事をしよう!」です。

そもそも会社のビジョンは何なのかということですよね。私はBEグループとして以下のビジョン実現を目指しています。

≪BEグループビジョン≫

私たちは多様なコミュニケーションツールとしての本の 新たな可能性を追求し続けます。

私たちは本づくりを楽しむことで、多くの人々にわくわく する喜びや驚きを提供し、働く私たちの物心両面の幸せを 実現します。

そして、世の中から大切にされる会社になります。

ビジョンは辞書で引くと「将来のあるべき姿を描いたもの。将来の見通し。未来図。未来像」とあります。ということは、私たちのグループの未来を考えるためには、私たちの仕事の外部環境がどのように変化していくか、仮説を立ててから考えていく必要があります。印刷、製本、出版、システム開発はどのような未来が待っているのでしょうか。私の仮説は、

印刷はオフセットからデジタルへ変わる。少部数印刷は オフィス内で印刷する。

スマホはなくなっても、「本」は残る。

2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.3%となり、初めてテレビ広告費(35.5%)を上回った年になったようです。情報産業は速いスピードで変化しています。情報産業のひとつである印刷技術も変化し続けています。

当社がお世話になっているモリサワ様は日本のフォントメーカーでは断トツのトップですが、現在のDTPフォントの前、写植の時代には二番手の会社でした。

写植とは、簡単に言えば印刷の原稿となる文字を文字盤と呼ばれるフィルムから印画紙に焼き付けて現像する、文字通り写真の原理を使った印刷用文字原稿作成機械でした。日本の写植機と文字盤を作るメーカーは、東京の写研と大阪のモリサワの2社による独占でした。写植全盛の時代、写研はモリサワを圧倒し、その豊富で美しい書体は、写植文字のスタンダードでした。

しかし、写植から現在のPCによるDTPの時代になるときに大逆転が起きました。当時も現在もDTPを支配しているのはアドビ社。そのアドビ社が日本に進出をするとき問題となったのは、パソコンで使用するDTPの日本語書体をどこから入手するか、でした。そこで、当時最大の写研に話を持ち込んだところ、写研は書体の提供を拒んだのです。海のものとも山のものともつかないDTPなどというシステムに、貴重な書体データを提供することは、巨大な利益をもたらしている写植という現在のシステムを崩壊させると考えたかもしれません。アドビ社は、写研との交渉をあきらめ、二番手のモリサワと交渉しモリサワはアドビ社とともに現在のDTPの仕組みを創ったといわれています。21世紀を迎えるころには、出版・広告ともに印刷原稿の製作はほとんどDTPで行われ、高価な写植機と貴重な文字盤はお金を出して引き取ってもらう粗大ゴミとなってしまったのです。パソコンとDTPの普及で一挙に写植という市場が崩壊し、ものの数年で消滅しました。

オフセット印刷はどうでしょう。デジタル印刷は予備紙が少なくて済みます。現在の環境に負荷をかけないという社会の方向にもあっています。品質面でもオフセット印刷と近くなり、過剰品質を求めなければ十分の品質となりました。大量のものを印刷しない限りはコスト的にも少なくて済みます。大量の情報は、紙で伝えることからより便利で反応がわかるスマホで、動画で配信されることが多くなります。2020年からは、現状のモバイル通信サービスが4Gから5Gへと変わることで、通信速度は100倍になるといわれています。そのようなことから、私は、印刷はオフセットからデジタルへ変わり、少部数印刷はオフィス内で印刷する時代になると仮説を立てています。

しかし、スマホはなくなっても、「本」は残るのではないでしょうか。違う話ですが、私は若いとき日本酒(清酒)はあまり飲みませんでしたが、50歳を過ぎてからは日本酒しか飲まなくなりました。周りでもそういう同世代人が多くいます。本も、ある程度年齢が行くと手にとって読んだり所有したいという欲求が出てきてほしいと思います。これからの読書用の端末は益々軽く読みやすくなっていくでしょうから、大量の本も減っていくと思われます。しかし、高級な本、私だけの本、ギフトとしての本、装飾としての本は残っていくと思われます。むしろ、今までのガラケーが淘汰されていくように、VHSビデオが見られなくなったように、スマホもより便利な情報端末へと変わり、Appleの時代から、また再びSonyの時代が来るかもしれません。

ビジョンを描くためには仮説が必要なので、私なりの仮説です。当たる可能性もありますが、当然外れることもあります。しかし、一歩先の本づくりを目指して、より本づくりを楽しんでもらえるために、よりわくわくする、より笑顔にする、未来の本づくりを考えていきたいと思います。