新社屋に引っ越し1ヶ月がたちました。少しずつ馴染んできたでしょうか。私も30年間慣れ親しんだ旧社屋からの移転でまだ落ち着かない日々ではありますが、少しずつ新社屋での仕事のペースもつかんできました。改善すべき点はひとつずつ改善していきましょう。皆様のご協力をお願いします。

 何度も伝えていますが、今回の移転の目的は、①新しい木戸製本所、ミューズに変わっていくため ②生産性の改善 ③収益性の改善 です。世の中に必要とされ、大切にされる会社に変わるには、何かを捨てなければいけませんよね。仕事や機械や書類は捨ててきました。私たちのマインドの部分でも、お客様満足を阻害しているマインド、社員さん同士のコミュニケーションを阻害しているマインドなど、捨てることで新たな会社に生まれ変わっていきましょう。

 さて、12月のテーマは「お客様に喜んでいただける仕事をしよう!」です。皆さんは日々お客様をイメージしながら仕事をしていますか。ただ「こなす」仕事になっていませんか。私たちの給料は、お客様に喜んでいただいた対価としての売上から支払われています。もちろん、その仕事を指示された品質と納期で作ることは大切なことですが、その品物は、お客様がどのような想いでつくり、どんな時に、誰が使うのかを考えると、作り方も変わってきます。

 逆の立場で、私たちがお客さんという立場で考えてみてください。例えば、食事をしたときに、まず、注文したモノが間違いなく出てくる。待たせない。会計を間違えない。おいしい。そういった基本要素が一つでもかけると、気分を損ねてしまいます。お客様の喜びを創り出し、また来たいな、と思わせるには、プラスアルファの要素が必要です。店員さんの接客やさわやかな笑顔、違う料理を頼んでも同時にテーブルに出てくるとか、水が欲しいときにさっと持ってきてくれるなど。予想した以上のサービスや商品が、お客様の本当の喜びを作っているのだと思います。

 それでは、私たちの会社はどうでしょうか。基本要素をしっかり満たしているでしょうか。また、満たすための努力や工夫がされているでしょうか。お客様の指示が工程の最後まで伝わっているか。不良品が納品されていないか。キズやヨゴレが無いか。納品や見積もりなどでお客様を待たせていないか。そして最後にプラスアルファのサービスが行われているでしょうか。

 A社様の品物で不良品が続いて発生したので、先日、お詫びのご挨拶に行ってきました。

「不良が続いてご迷惑をかけました。すみませんでした」と私。

「いえいえ、いつもこちらが無理ばかりお願いして、ありがとうございます」A社様担当者。

 無理を聞く、というプラスアルファのサービスが基本要素の足りない部分を補っているということになります。「印刷会社様の印刷の不具合を発見し報告する、確認が取れるまで機械を止める」という、私たちの会社では当たり前のことも、プラスアルファのお客様の喜びを創り出すサービスですよね。やっぱり木戸製本所じゃないとダメだね、と言っていただける製品づくりをしっかりやっていきましょう。しかし、基本要素がベースになっていることは忘れてはいけませんよね。

 JR北海道で不祥事が続いていることは皆さんもご存知だと思います。2年前の石勝線の脱線火災トンネル事故の後、当時の中島尚俊社長は線路の点検に懸命になったが、組合側は、休日出勤や時間外労働を押し付けたのは“36協定違反”だと経営陣を責め立て、心労が重なって中島社長は入水自殺してしまいます。また、3回発生した特急列車の火災事故。その出火・発煙事故の原因とみられるエンジン部品を、詳しく調査しないまま紛失。乗客の生命にかかわる事故を起こしながら、結局、3回の出火・発煙事故が起きた原因は今も不明のまま、など。私たちの会社にもいえることですが、原因を突き止め、再発防止に徹底して努めることで事故は改善され、社員の可能思考的な教育によって個々の意識が変われば、より改善する社風に変わっていくのでしょう。

 私たちはお客様の命を預かる仕事をしているわけではありませんが、お客様の想いを紙に残していくという大切な仕事をさせていただいています。不良本が1冊でもあって、20年後にその本の間違いが発見されたら、もう直しようがないのです。電子メディアと違い、紙で残すということは、変わらない、と同時に、変えられない、という偉大なる仕事なのです。本という文化を守り育てていくために、私たちは仕事に対しての責任と誇りを持ち、もっと読みやすい本を、もっと間違いのない制作や製本工程を、考え、実現していくことが必要だと感じます。よい本を作っていくことを楽しめる、そんな会社に一歩ずつ近づいていきたいものです。