3月も終盤になり、印刷製本の繁忙期もゴールが近づいてきています。工場の皆さんは連日の長時間対応で大変お疲れだと思います。早朝から遅くまで、また翌朝まで、対応ありがとうございます。3月の方針である「優先順位」を守って仕事を進めていただき、事故なく繁忙期を締められるようお願いいたします。

4月のテーマは「初心」についてですね。少し私自身の話もしてみたいと思います。私が木戸製本所に入社したのは1982年4月、23歳の時でした。実はほかにやりたい仕事があり、5年間働きお金を貯めたらやめよう、という初心でした。そんな考えですから、一所懸命仕事はしていましたが、この会社をどうしたい、などという発想はなかったのです。

しかし、入社して3年目に、博進堂さんが主催していた「MG(マネージメントゲーム)」という研修に参加し、仕事に対する考え方が変わります。MGはゲームとして会社経営を体験することで、経営と会計を学ぶ研修でした。私はその研修ではいつも成績がよく、「経営者として才能があるのでは」と自分で思い込み、経営者として一歩踏み出しました。当時の清水義晴社長から、「仕事は天職だと思ったほうがいいよ」と言われるのですが、製本という仕事が自分の天職だと思い込めない自分がしばらく続いたと思います。時代はバブルに突入し、好きでも嫌いでもとにかく仕事に追われる日々でした。また、博進堂さんが「脳力開発」という可能思考のセミナーも開催しており、その講師だった清水秀雄氏に可能思考を学び、私の基本的な思考回路が作られたと思います。そして1993年、木戸製本所社長に就任。時代が大きく変わっていたので、先代の父新太郎交代を願い出て社長にさせていただきました。社長就任の初心は「第四銀行と同じくらいの給与を支払える会社を目指す」でした。少ない人数で仕事をしていた時期は結構高いお給料を払えていたようにも思いますが、まだその思いは実現できていません。今後、新たな付加価値の仕事を創り出していくことで実現は可能だと考えています。

1999年に経営理念を明文化、それが今の基本理念となっています。当社のあるべき姿の「初心」といえます。「自立と自律」という考え方も当時から私が大切にしている考え方です。会社も個人も何かに依存する、つまり人のせいにするのではなく、どんな外部環境の変化があっても存続できる自立した会社であり、個人であってほしい。そして、「ああしろ、こうしろ」と指図され注意されるのではなく、正しい価値観を持って自分で判断できる自律性が会社も個人も必要だ、という考えです。これも、私の「初心」のひとつです。

2000年、初めて「DRUPA」というドイツの展示会へ行き「製本だけでいいのか」という疑問を抱き、2001年にオンデマンド印刷を導入し、小ロット製本ラインも設備し、製本だけでないビジネスに取り組み始めます。しかし、なかなか仕事などなく、フランチャイズビジネス「インプレッセ」を始めますがうまくいかず半年で撤退。2003年10月(株)ミューズ・コーポレーションが設立されました。「社員さんが成長することで、抱きしめていただける一冊の本を作っていく」という「初心」がミューズ創業の思いです。

多くの出会いと、そのご縁で学ばせていただくことで、私は成長させていただきました。また、社員さんを始めとした多くの会社と関わる方のおかげで会社は65年間存続させていただいています。このたびGiHを創業するに当たり、考えていたことは二つあります。それは、木戸製本所もミューズも同じことが言えます。

①会社の何(強み)をもってして、誰を幸せにする仕事、事業、プロジェクトなのか。常に明確にしていかなくてはいけな  い。仕事は誰かを幸せにするべきものだ。その「誰か」が大勢であればなおいい。

②昔から言われていることだが、どんな商品も、どんなサービ  スも、作ったり行っているのは「人」だ。パート社員さんも含めた全員の知恵を集めて経営していく必要がある。人が楽しく働け、成長していく環境を作っていくことが必要だ。

新たな初心をもって、次の10年間、皆さんとともに自分自身も成長していきます。