12月に入ってから、hp社さんより「ソウルの会社訪問を企画しているので、参加しませんか」というお誘いを受け、22日23日の一泊二日で行ってきました。同行したのは、東京のK印刷黒岩常務、石川県のW社の4名、そしてhpさん2名。計8名でソウル市内の3社を訪問しました。
 1日目は、ソウルの仁川空港からタクシーで1時間ほど、北朝鮮の国境まで15キロくらいの「韓国学術情報 (KSI)」という会社を訪問。チェ・ジョンジュン社長は私と同じ年、1959年生まれ。元々は本の訪問販売のサラリーマンをしていましたが、重い本を持たずに販売できないのか、一度売ることでずっと売れ続ける本はないのか、訪問せずに座ったまま販売することはできないのか、という「不」の解決からスタートし、インターネット社会になることを予測し1992年会社設立。韓国の学会などの学術情報のデジタル化、そして、学術雑誌のインターネット配信事業を1998年から開始。その後、フォトブック事業、出版印刷事業に取り組んでいる会社。会社の隅々までオープンに見せてもらい、質疑応答などで、14時から19時過ぎまで、5時間以上の濃密な企業訪問でした。
 2日目は10時より、ソウル市内のHiswill社を訪問。起業家を育成するインキュベーション施設のような古いビルの狭いミーティングルームで、今後のデジタル印刷を使ったビジネス展開について熱く語ったヤン社長は41歳。ナイキの店舗に張り出すポスターなどの大判プリント事業に特化していましたが、今後はデジタル印刷事業での躍進を目指すベンチャー経営者でした。現在の売上が7億円、昨年一年間の投資額が10億円。ビルから少し離れたデジタル印刷の工場はプレハブでしたが、世界の最新鋭で最高のデジタル印刷、デジタル製本、デジタル加工機が設置されていて、ちょっとした機械の展示場でした。これら世界の最新鋭機を自社の仕組みでつなげていくことで、これからビジネスを構築していく、ということでした。Hiswill社の訪問時間も2時間の予定が3時間程度に延長され、今後のビジネス展開についての突っ込んだ質疑応答に。
 3社目は、昼食後、Inter pro社へタクシーで移動。ソウル市内の街中の会社でした。インディゴの最新鋭機を導入し、今までのBtoBのビジネスから、BtoCのビジネスへと業種転換していくためにインディゴ10000で他社が印刷できない大きなポスターなどの受注を目指していく、とのことでした。
 私一人が18時45分発の新潟便だったので、ひとり離脱。空港バスで渋滞するソウル市内を抜け、仁川空港へ。短かったですが、濃い内容のソウル視察を終えました。今回の視察で気づいた点を3点。
「変化するであろう環境を予測して、自ら進化する」「デジタル印刷では、変化に合わせていたのでは淘汰される」
 「韓国学術情報 (KSI)」のチェ・ジョンジュン社長が話されていた言葉が印象的でした。会社の存続について、良く引用される言葉に、ダーウィンの『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である』があります。つまり環境の変化に対応できるものが生き残る、と。しかし、デジタル印刷では、変化に合わせていたのでは淘汰されるし、環境の変化を予測しないと、新しいビジネスは生まれてこない。変化に合わせていたのでは、皆で競争する市場に参入し価格競争になってしまいますよ。とチェ社長は話されていました。
「過去と現在と未来を結びつける力」が必要
 先日、日曜日の9時過ぎに、亀田のイオンに行きましたが、もうすでに混雑していました。すごいですよね、朝9時30分から。買い物するという行為は、昔からあるものでイオンがなくても服も買うし、食料品も買うし、外食もする。昔から続いている普遍性のあるものは、今後も形は変わっても残る。しかし、未来は形が変わっていく。今は、一か所に車を駐車し、買い物も、食事も、映画も楽しめるという便利を提供し消費者からの支持を受ける。未来は、買い物に行かずに、商品が届くかもしれない、外食も違った形になっているかもしれない。今の不便や不満を未来に向けて解決していく力が必要だ。私たちの強みである「本づくり」。2000年以上続く文化ではあるが、「本づくり」も新たな用途(ギフトなど)が生まれてくる。また、「本づくり」の未来を予測し不便や不満を解決しなくてはいけない。
それぞれの機能を結びつけ機能を最大限に活かせるITが必需品に デジタル印刷製本出版の基本となるのは、各工程のレベルの高さ。受発注の仕組み、印刷データ生成の自動化、写真の加工の自動化、印刷機の標準化、多様な形態に対応できる後加工製本、間違いがなく早く安い配送、すべてが高いレベルであることが求められるし、標準化していくことが必要になる。そして紙の選択権や色の決定権なども自分たちで持てるような商品開発も必要だ。最後に、そのそれぞれの機能を最大限に活かせる、生産性を上げる管理の仕組みが必要になり、その開発が事業成功の大きな役割を担っていく。今回訪問させていただいた3社のうち2社はITに非常に力を持ち、韓国学術情報 (KSI)は、IT技術者20名、Hiswill社はデザイナー30名、プログラマー18名。情報技術が会社のカギを握っていました。
 変化の時代は、チャンスの時代。私たちは、劇的な変化の時代を生きているらしい。
 2015年、今年も一年間、お世話になりました。2016年、変化と進化を楽しむ1年に!!