一昨日、当社の取引先である小野塚印刷様が倒産したという知らせを受けました。昭和44年の創業ですから41年間の歴史に幕を閉じてしまいました。会社が存続していくということはとても難しいことだと、人ごととは思えなく感じています。この倒産で当社は180万円の損失が発生します。今後も印刷業界ではこのような事故の発生に注意していかねばなりません。
その前日、私は日創研の「成功発想塾」という研修に参加させていただきました。40名くらいの研修で、いろんな業種の方と一緒に学んでいます。印刷業関係は当社一社のみですが、他の業種も印刷業と同じ悩みを抱えながら、真剣に講義を受けています。その悩みとは、「自立型の会社に変わっていきたい」という悩みです。「価格の決定権がある」「たとえ市場が縮小していっても、自社の頑張りで売上を伸ばしていける」「そのためには、自社独自の技術やサービス、商品を持っていなくてはいけない」「オンリーワンの価値を持つことで自立していきたい」ということです。そこには、日本経済が縮小していくという背景があります。今までのように、日本の経済が拡大していけば、人と同じことをしていても、日本経済や地域経済の成長と共にそれぞれの会社が成長拡大していけました。しかし、経済全体が縮小していくと、人と同じようなことをしていては、確実に会社の売上は減少していくのです。残念ながら木戸製本所もその部類に入っていますが、ODP事業部から生まれたミューズという新規事業で売上的には2社を合わせて同じ位の水準をかろうじて保っています。
倒産した小野塚印刷様も新規事業にチャレンジしていなかったわけではありません。「販促屋シンジケート」というコラボレーション事業や、世界初という印刷機の導入や、常務の小野塚さんは私の友人でもあり、勉強熱心の方でした。しかし、今の時代はもっと大きな変化に向けてのチャレンジが必要ではないかと感じます。企業を存続させていくには、常に新しいお客様の創造が不可欠といわれていますが、新しいお客様は、現在のお客様と同種類ではなく、新たなマーケットなのではないでしょうか。例えば、当社ではお客様は印刷業だけですが、今後は個人のお客様に少しずつシフトしていく。そのためには、新商品や新技術、新サービスを創り出して行かなくてはいけないように思います。
そこで必要なのが人財と経営基盤になります。新商品や新技術、新サービスを創り出していくのは、社員さん一人ひとりです。これからの時代は社長一人で新商品を開発できるほど簡単な時代ではありません。社長幹部社員が力を合わせ知恵を出し合い、共に現状打破していくことが第一です。そして、新商品や新技術、新サービスを創り出していくには、お金も必要になります。当社も売上減少というきびしい状況ですが、何とか利益を出すことで、次世代に向けての投資できる環境を作っていくことも必要です。社内勉強会の導入や、毎月のグループでのコスト管理、ひとつひとつが次の時代への準備なのです。
昨日の新聞に日本電産の永守社長が、2008年に自動車用のモーターの開発拠点を120億円かけて作る案件に対して全役員が反対したが「必ずその市場の世界一になる」ということで断行したという記事が出ていました。自動車業界も10年後には電気自動車が30%になるとも言われている激変の業界です。私たちの印刷業界だけでなく、全ての業種で、大きな変化が起きています。今までの延長では生き残れない、電話帳から名前が消えていってしまう時代です。先の永守社長のように、人が同意したり、賛成することは、あたり前すぎてチャレンジにならないかもしれないとも感じます。
人と同じことをしていては幸せになれない世の中というのは、大変で難しい時代ですが、難しくて大変なことにしかチャンスはないのです。私たちの会社もこの大変な状況に立たされているから、チェンジするチャンスを与えられています。順風の中では変われないのです。そして、松下幸之助翁が言ったように、「経済と経営は違う」のです。

2010年7月23日