私が会長をさせていただいている「日創研 新潟経営研究会」の10月例会は長野県伊那市にある伊那食品工業(株)を訪問させていただきました。当社からは古川さんと菅さんが参加、朝7時集合、片道5時間という長旅でしたが大変多くを学ばせていただいた企業視察となりました。伊那食品工業の主となる生産品はかんてんです。「かんてんぱぱ」というブランドといえば知っている方もいると思います。かんてんぱぱガーデンという美しく手入れの行き届いた敷地の中に、工場、事務所、研究施設、レストランなどが建設されています。伊那食品工業の塚越会長の考え方はシンプルであり、「いい会社をつくりましょう」という、わかりやすい経営理念を社員に知らしめることで、「年輪経営」を実践されていました。
「年輪経営」とは何か。密な年輪で成長していった木ほど上に真っ直ぐ伸びていく。ある部分だけが成長するということは年輪としてはいびつな形になる。中心よりも外のほうが年輪の目が狭い。それは成長が落ちているのではなく、同じ成長で伸びているから円周の外側に行くほど幅が狭くなって当然だ、というものです。会社に置き換えると、生産力も、社員の能力も、管理力も、経営者の意識も、社会的な信用力も、全てが同時に伸びなければ、売上げに対応できなくなるだけで、どこかに必ず無理が来る。その年輪経営を実行することで、伊那食品工業は50年間増収増益を実現してきました。講演の中で、かんてん業界は1500万トンあった市場が100万トンに減少したというようにも話をされていました。そんな環境の中でも、10年先の新しい用途開発を続けることの重要性を話されていました。
9月30日に経済産業省から2010年度の工業統計速報が発表され、印刷・同関連業の製造出荷額は約5兆9600億円、前年比3.4%減となり、1985年以来6兆円を割り込んだ、という記事が業界新聞に出ていました。印刷の市場は1991年のピークが9.1兆円(100%)、2020年には4.6兆円(52%)になると予想されています。特に商業印刷の市場は2010年に2.3兆円(100%)、2020年には1.2兆円(52%)になると予測されています。確かに、印刷という市場は縮小していくのですが、紙で情報を伝えるという文化は残ります。しかし、製本という仕事もかんてんのように急激な減少はないとしても、確実に減っていくのですから、新商品開発、新市場開拓は私たちの会社の今後の大きな課題となって行きます。視点を変えながら、今の世の中で私たちの製本という技術が、誰かの幸せのために生かせないのか。世の中の不便を解決していけないのか。そして、私たちが仕事をしている上で難しいことは、同業他社も難しいと考えていることです。その難しい、大変だを解決していく、長い視点で研究していくことが大事だと感じます。今年から取り組み始めた、「一人一研究」を続けることで会社の体質が変わることを願っています。
仕事は、お客様の困ったことや、社会の問題点を解決することで、一人でも多くの人を幸せにしていくことだと思います。長期的に考えていくこともあれば、今日という日を一所懸命生きることで解決できることもあります。内製化された会社の、自社で出来ない品質や納期という問題を解決することも、私たちの仕事の価値です。そして、ここを強化することが私たちの短期的な課題だと思います。難しいことをあたり前にできる、そこに大きな付加価値が生まれてきます。ミューズでも、お客様がやりたくないことや難しいと思っている原稿整理や校正の部分に大きな付加価値があるように感じています。当社でも、一年ずつ狭くても密度の濃い年輪を育てていく為に、一日一日を積み重ねていきたいと思います。

11月のテーマ 自社の商品をもっと好きになろう!

仕事は、お客様の困ったことや、社会の問題点を解決すること、と書きましたが、私たちの仕事でどんな人を幸せにしているのか、もう一度考えてみましょう。製本という技術は、より見やすい本を提供することで紙文化を支えています。また、出版という仕事は想いを形に残す仕事でもあります。私たちの仕事を好きになることで、仕事に関する知識が深まり、また、改善点も発見できると思います。自分が自社のファンになることで、多くのお客様に私たちの会社のファンになっていただきたいものです。

11月の方針 ありがとうカードを今まで渡していない人に週1枚書こう!

「ありがとうが溢れる会社に」一歩ずつ。今年の方針です。10月はありがとうカードを渡すことはできましたか。11月も引続き感謝の気持ちをありがとうカードで伝えていきましょう。そして、今月は普段一緒に仕事をしていない人に注目。会社はいろんな部署の人の協力で運営されています。是非、今まで渡したことのない人に一枚のありがとうカードを渡すことを目指してください。もちろん、身近な人にもありがとうカードを書いていきましょう。

2011年10月24日
(株)木戸製本所 代表取締役 木戸敏雄