東京では地下鉄を利用して移動することが多く、周りを見ると、昔は新聞雑誌を読んでいる人が多かったものですが、現在は書籍を読んでいる人は少し見かけても、老若男女ほとんどの人がスマホを見ていて、雑誌を読んでいる人はまず見かけなくなりました。

毎年出版業界のデータを公表している出版文化研究所によると、2017年の書籍と雑誌を合わせた紙の出版物推定販売金額は約1兆3700億円で、ピークだった1996年の約52%まで縮小する見通しだといいます。

皆さんはドコモの「dマガジン」は知っていますか。スマホでの「雑誌読み放題サービス」です。200誌以上の雑誌を月額400円で読むことができるサービスで、2014年6月にスタートし、2014年12月に100万、2016年3月には300万ユーザーを超えました。例えば、『SPA!』という雑誌は、紙の実売が5万6000部なのに対して、読み放題では12万人を超えるユーザーが読んでいるそうです。

「少年ジャンプが1000円になる日」(大坪ケムタ著 コア新書)という本を本屋で立ち読みして、面白そうなので買いました。確かに出版不況ではあるが、Webマンガは売り上げを伸ばしている。今後の出版業界の行方はどうなるのか、という内容の本でした。私たちがイメージする本はやはり紙の本です。しかし、紙媒体でのマンガ雑誌『週間少年ジャンプ」(集英社)は1990年代には600万部をこえていましたが、2016年度は222万部、約1/3まで減少し、2017年の5月には200万部を割りました。さらに、その雑誌から生まれる単行本の「コミック」を見てみると、『ONE PEACE』(集英社)の2017年度の推定売上部数は約1150万部で第一位、第二位は『進撃の巨人』(講談社)662万部とつづきます。このようなメガヒットはあるのですが、コミック市場全体では、紙の単行本の推定販売部数は1947億円で前年比7.4%減と過去最大の落ち込みでした。しかし、実のところコミックの売り上げは増加に転じています。紙媒体では落ち込んでいるのですが、紙媒体に電子書籍を足した場合、コミック市場規模は前年比4.8%増の3407億円となり、過去最高の市場規模となったのです。

電子書籍が今どのような状況なのかも確認しておきましょう。出版科学研究所によると、2016年の電子書籍市場は1909億円と前年比27.1%増加。その内訳は、電子コミックが1460億円(27.1%増)、電子書籍が258億円(13.2%増)、電子雑誌が191億円(52.8%増)、紙の出版物が1兆3700億円ですからまだ14%程度の市場規模ですが、成長スピードが速く、このままいくとコミックなどは近いうちに逆転されるのでしょう。

私も、マンガアプリをダウンロードしてみました。2017年2月の利用者数は、1位がLINEマンガ279万人、続く2位がcomico260万人ということで、このふたつのアプリを使ってみました。どちらも無料でマンガが読めることに驚きましたし、特にcomicoは縦スクロールでマンガを読んでいくという斬新さがあります。私はマンガを読む余裕がないので、今後もスマホでマンガを読むことはそんなに多くないとは思いますが、時間のある人はスマホで読んでしまいますよね。ニールセンデジタルの調査によると、スマートフォン利用者の1日あたりの平均利用時間は3時間9分、そのうち19%がエンターテイメント分野のアプリを使用し、これをゲームや動画・音楽・マンガといったジャンルが奪い合っているのだそうです。つまり、マンガ好きの人が紙から電子書籍に移ってきたのではなく、スマホを手に取ることでマンガも読むようになってきている、つまり新たなコミックのファンがスマホを通じて広がってきているのです。

さて、本題の「少年ジャンプが1000円になる日」です。例えば、サザンオールスターズが発売したアルバム『葡萄』は通常版が3564円、限定版としてオフィシャルブック付きが4860円、さらにTシャツ付きで7020円。マニアにとって多少の金額より、限定モノが欲しいということ。マンガも音楽も無料で見たり聞いたりできる時代になり、本やCDに特別な価値をいかに付けていくか考えていかないといけない。2016年のコミック市場は紙2963億円、電子1491億円、電子コミックの成長率27.1%から行くと2〜3年で電子と紙の比率は入れ替わる。その時、週刊誌が1000円で売られる日が来るのかもしれない。さらに、出版系だけでなく、IT系がコアなマンガファン以外へもマンガの魅力を拡大することで史上最高のマンガ黄金期の到来も期待できる。と本誌では締められています。

デジタル社会になり、確かに私たちがビジネスを行っている「今までの紙での本づくり」は逆風に吹かれ続けています。こういう状況のもと、東京の出版を行っていた印刷製本会社は本当に大変だと思いますし、私たち地方の製本会社も今後は「今までの紙での本づくり」という発想でビジネスが続いていくとは思えません。しかし、今後は、紙でしか残せない本としての需要は大きくなってくると思います。新たな本の時代が始まってきています。その新たな本づくりに向けて、今は厳しいですが夢と希望を持って本づくりの未来を拓いていきましょう。

 

6月のテーマ

お客様からの信頼を積み重ねよう!

最近、テレビでは謝罪するシーンをよく見ます。どの謝罪も、今まで築いてきた信頼を失ってしまったことに対する謝罪ばかりです。一瞬にして信頼を失っているように見えますが、実は時間をかけながら、組織内に甘えが生まれ、正義感を失っていくことで、信頼を失っています。私たちも、わが社の正義とは何かを問い直し、お客様から、また社会から、そして、社員さんからの信頼を積み重ねていけるよう努力してまいります。