蓮田川柳の会

会長 熊谷則男様

連絡先 埼玉県蓮田市蓮田4 – 136 – 2

TEL 048 – 764 – 2760

 

4月5日(水)、埼玉県蓮田市の中央公民館で行われた蓮田川柳の会にお邪魔しました。

皆さん和気あいあいと机の向きを変え会場を整える。至るとこからお菓子が供され、遠足気分なのは私だけで、1週目は句会、3週目は勉強会と熱心に川柳に取り組んでいる句会だ。今日の席題を投句し終えると、各選者が別室で…と言いたいところだが、部屋の隅3か所に分かれて選をする。

 

 

▲「どうする」の選者 松田重信さん

 

まずは

  • 宿題1「どうする」松田重信選

秀/偶然の再会春の不整脈              協子

五客

バラ色の余生崩れる低金利            泰夫

ハードルを上げて明日に舵を切る     育司

十字路が次から次へ浮かび出る  隆宏

悪霊も守護霊も居るあみだくじ  美佐諸

草陰で又夢を見る蝸牛     恒

人/趣味ひとつ絶って介護の色を足す        育司

地/消したいアドレスがいつまでも縛る     泳朱

天/にんげんの叡知悩ます核のゴミ  泰夫

(軸)/坪庭に花の種でも蒔きましょか     重信

 

▲「恐怖」の選者 熊谷則男さん

 

  • 宿題2「恐怖」熊谷則男選

秀/外出は友と一緒に身を守る       貴以子

秀/蜘蛛の糸綾取りのよう世間様  協子

五客

幽霊が見つめられてる恐ろしさ  隆宏

温み無く鬼畜と化した世の現し  泳朱

平和の灯じわじわと消え近未来  重信

フクシマに眠る悪魔の目覚め時  重信

ライバルの梯子はづしている美談     育司

人/恋模様変り果てたかストーカー  泳朱

地/忖度が思い通りになる恐怖 榮子

天/一週間妻の無言がまだ続く       美佐諸

怖いねぇ~(笑)。

(軸)/突然落下屋根の融雪        則男

 

そして、今日が選者デビューという泳朱さんには、ベテランの美佐諸さんが選句の時から一緒についてアドバイスされる。

 

▲「高い」の選者 嶋田泳朱さん

 

  • 宿題3「高い」嶋田泳朱選

秀/富士山頂下界の花火下に見る  貴以子

五客

ハイテクの渦に呑まれて櫂を投げ     榮子

青い空の深さに迷うシャボン玉  美佐諸

あすならば高い階段のぼれそう       ひろ子

うれしさで乱高下するわが心  ひろ子

太い筆大志潜めて絵馬に描く        重信

人/背伸びして遠望の宙葱坊主  重信

地/長生きを恐縮している高齢者  泰夫 

天/蟻の列月への道を歩き出す  美佐緒

(軸)/白雲の仰ぎ足らずで途遠く  泳朱

 

席題は「被災地の今」。皆さん懸命に考えていると「5分延長しませんか」の声があがる。

一人3句選、そのうちの特選1句は2点、他は1点として集計する。

 

天/12点

被災地を絞ると落ちる阿弥陀仏  美佐緒

流れがよく心に沁みてくる/「被災地を絞る」の言葉に感動した。阿弥陀仏で止めたところで迷わず選んだ/再建がうまくいかず更に絞られている被災地。災害のむごさと復興の難しさ/絞ると落ちる、はやはり涙ではないか。仏様に改めて祈っているという被災者の心が詠まれている/被災地の不満やわだかまり、阿弥陀様しか頼るものがない/絞ると落ちるがこの句のよさ。「被災地を絞る」はある意味穿ちかもしれないが、なかなか出て来ない言葉。この表現はベテランの句。

 

地/9点

あの時を想いて辛夷いまも泣く 榮子

辛夷が擬人化され、被災者が救われないという状況を詠んでいる/表現に無駄がない/3月は辛夷が咲くころ。その時に辛夷の中にどんなものが失われていったのか、画像として浮かんでくるような句。

質問…「いまも泣く」で辛夷が擬人化されているとのことだが、単なる辛夷として受けたらいけないのか?

■被災者の人たちの想いが擬人化されたのでは?/これは作者の想いだと思う。あの頃に戻ってほしいという自分の気持ちを、白い花をつけた辛夷に託した。もう白には戻れない。

 

地/9点

風評が裸足になって春朧               重信

春朧なので、春になって一見緩やかにみえる風評だが実は大変ということ?/風評が裸足になって、は開放されたということではなく、土足でどかどかとやってくるということ。行く末が見極められない状態を朧に託したのでは?朧という止め方できれいに見せているが、皮肉のきいた句/そのように難しくは理解できなかったが、流れが非常にいい。

 

人/7点

被災地の格差が目立つ七年目        泰夫

その通りの句だが、格差がどんどん広がっている感じがする/えーっと、もう忘れちゃいました。でもよかったんだね(笑)。特選でいただきました/この句の命は七年目で止めたところ/わかりやすい句だし、余韻が残る。格差が少しかたい?説明句のように見えて説明句ではない/一読してストレートで無駄がなくてよかった。

質問…「説明句」という言葉が時々出てくるが、見分ける方法は?

■朝起きて顔を洗って飯を食う、これが説明句。そうではなく飯がうまかったとか、昨日の夢が気になったとか、一行の中に物語やドラマを入れると説明句ではなくなる。

 

被災者に気配りしない毒言葉

毒言葉で選んだ/毒言葉は変えた方がいい/作者が意図したことはもっと違う言葉で表現できる/言葉尻とか?/例えば「被災者に背中を見せている言葉」でもいいと思う、向き合ってないわけだから/着想がいいから化ける句だと思う。

 

御詠歌を皆でとなえてやすらぎを

御詠歌でやすらぎを得ない人もいる。例えば「御詠歌を皆でとなえている港」と取りあえずおく。そうすると風景が出て、心情が出てくる。下五で「やすらぎを」まで言うとそこまでの句になる。その先をいくなら「御詠歌を皆でとなえて鬼がくる」とか、下五を変えた方がいい。

質問…今日もあったが、誤字を書いた場合その句はボツになるのか。

■ここは勉強会だから訂正することもあるが、字を間違えるということは日本語を間違えるということ。まずは辞書をひいて確かめるのが基本中の基本。選者の立場になったらそれくらい厳しくしてください。

 

▲切磋琢磨し合えるお仲間のよさをつくづく感じた蓮田川柳の会

 

★月2回の句会と勉強会を着実に積み上げ、即吟やしりとり川柳といった試みで瞬発力を培う。そして、今年からは全員が選者に挑戦! という新たなステージが用意されている。ベテランが初心者をうまく導き、場所を変えての二次会も終始川柳談義。うまくなりたい、上達したい、という熱量は清々しい。(木戸敦子)